今回は営業の生産性が飛躍的に向上する「セルフフィードバック学習」について解説してまいります。営業の生産性を高めるために、自分だけでできる、とても効果的な方法となっています。ぜひセールスノウハウとして「自分ごと化」し、ご自分の学びを深めてください。
営業生産性向上のために必要なセルフフィードバック学習
セールスパーソンである皆さんは、営業生産性をアップさせるために社内あるいは自分自身でさまざまな学び、訓練をされていると思います。セミナーであったり、社内ロープレであることもあるでしょう。
私、小沼の経験ならびに専門である脳科学の観点からたどり着いた、効果的な学習方法をご紹介します。
それは「セルフフィードバック学習」です。
効果的な学習方法について以下の書籍で具体的に解説していますので、ご興味のある方は是非ご覧ください。
『自分の脳に合った勉強法』
やり方は、自分自身が実際に営業をしている際の動画を繰り返し視聴すること。その中から改善点や強化すべき点を見つけ出すのです。
この「自分自身が営業をしている動画」から学ぶことは非常に多いと私は思っています。
私自身、もともとトップセールスでもなければプレゼンテーションがうまいということでもありませんでした。
その環境から脱するために、色々な本を読みました。またさまざまな研修も受けました。セミナーに通うことで、自分自身の知識をアップデートしました。
どれも効果的ではあったんですが、自分の中で一番効果的に働いた学習が何だったのかと振り返ると、まさに私が自分で実際にセールスをしている動画を収録して、それを繰り返し見ることでした。
そしてそこで気付いた良い点を伸ばすように努力しました。また、改善が必要であるべき点は徹底的に改善するように努力しました。
この繰り返しが、最も自分の営業生産性向上に貢献したと思っています。
これを私は「セルフフィードバック学習」と呼んでいます。
セルフフィードバック学習が有効的な理由は「メタ認知力」が向上するから
セルフフィードバック学習にはメタ認知という概念が含まれています。
メタ認知はメタコグニションという脳科学分野の英語を日本語化した言葉です。
メタ認知とは、高い次元から自分を俯瞰、客観視するということです。
セールスの場では、メタ認知力の高い人は自分がセールスをしている際に焦らなくなるという効果が得られます。
その理由は「自分が焦っている」ということにいち早く気づき、すぐに修正できてしまうからです。
しかしながらセールスが苦手な人というのは、自分が焦っていることに気付かず、早口になってしまったり、ついひるんでしまったり、お客様から鋭い質問が来るとたじろいでしまったりということになってしまいます。
私の考え方では「メタ認知ができていない」ということになります。
メタ認知を踏まえた上で、お客様の購買意欲をコントロールする方法については、『3つの感情を使い分けて顧客の購買意欲をコントロールする方法』の記事をご覧ください。
「メタ認知」は3つのサイクルで構成される
メタ認知は大きく3つのサイクルから構成されます。
一つ目が「モニタリング」です。
モニタリングとは「自分自身の状態をモニタリングする」ということです。
ふたつ目が「フィードバック」です。
自分自身をモニタリングした際、「あ、いけない」と気づき、焦ったとします。その焦っている自分の状態に対し、「どうすればいいかという評価を下す」ことをフィードバックといいます。
焦って早口になっていることに気づいたなら、もう少しお客様に伝わるよう、丁寧にゆっくり話をしようと改善する。このようにフィードバックしていくことがポイントです。
そして三つ目が「コントロール」です。
先ほどの例だと、フィードバックして「いけない、丁寧にゆっくり話そう」と思ったとしたら、実際にそれをコントロールして行動に落とし込むというステップがコントロールです。
この3つのサイクルによりメタ認知力を高めることが、飛躍的に生産性を高めることにつながると私は思っています。
セールス分野のメタ認知力を高めたいなら自分自身の商談動画を繰り返し見よう
メタ認知力を高めるためには「セルフフィードバック学習」が有効です。
ことセールスの分野においては、自分自身の動画を繰り返し見て、気づきを得ることです。
自分自身に対する理解が深まれば、必然的に自分自身に対するメタ認知が得られます。
外からインプットするだけでは、メタ認知力が上がりません。
もしあなたが今、本やセミナーでどんどんインプットをしているのに営業成績が上がらないと悩んでいるのであれば、ぜひセルフフィードバック学習でメタ認知を得るように心がけてください。
セルフフィードバック時にチェックすべきポイント
自分自身の動画を見て振り返りをした際に、どういった項目をチェックすべきかについてお伝えします。
セルフフィードバック時のポイント①伸長
一つ目が伸長案、つまり「良い点」です。
動画を見て得られた気づきの中でも「ここはいいな」「ここは私の良いセールスの方法だな」「ここはいいお客様への対応をしているな」ということは伸長案としてより向上させるため、書き出していきましょう。
セルフフィードバック時のポイント②改善
二つ目が「改善点」です。
自分自身が改善するべき点を書き出しましょう。
まずはこの「伸長案」と「改善案」を徹底的に書き出すべきです。
準備に取り組む~次の商談で「意識すべき3点」を抽出
そして、「次の商談の時に意識するべきこと」を三つ以内で決めましょう。
例えば「改善案」として「お客様に対して早口すぎて、何を言いたいかが伝わってないんじゃないか」という内容を見つけられたとしたら、改善案として「もう少し丁寧にゆっくり話をしよう」と書いておきましょう。
その他にもいくつかポイントを挙げたとして、その中から三つ以内に絞るのです。
3つ以内である理由は、人間の脳がそこまで多くのことを意識できないためです。
これは脳の前頭葉にあるワーキングメモリに関わることです。
人間が一時的に意識し続けられる数は多くて3つです。そのため、たくさんのことを実践しようとしてもまずできません。
ならば、三つ以内で実践するべきことを決めて意識した方が良い、ということになります。
例えば「ゆっくり話す」を一つ目に選択したとします。「表情を明るくしよう」が二つ目。逆に、自分の良かった点として「論理立てて体系的な話をする」があるため、より強化していこう。
このように、「改善案」と「伸長案」でまとめ、ぜひ次の商談時に意識してみてください。
セルフフィードバックで自分の営業生産性をアップしよう
セルフフィードバック学習によって、営業生産性が高まるイメージを持って頂けたかと思います。
自分の営業生産性を高めるために「セルフフィードバック学習」を取り入れ、 チェックポイントを書き出してみてください。次の商談で活かせるはずです。
皆さん自身の成約率向上につなげてくだされば幸いです。