今回のテーマは「『なんとなく客』でも買う気にさせるクロージング手法」です。確度が高くない顧客に購買行動を促すには一体どうすれば良いのか?ぜひあなたのセールスノウハウに取り入れてみてください。
購買行動に至ってくれない「なんとなく客」をどうする?
おそらく、セールスパーソンであるあなたのもとには「すぐさまあなたの商品を買いたい」という確度の高いお客様もいらっしゃれば「とりあえず情報収集であなたのもとに来てみた」という「なんとなく客」もたくさん相談にいらっしゃるのではないでしょうか。
この「なんとなく客」にどのように購買させるか、は営業手法が問われます。セールスの中でとても大事な考え方の一つです。
マーケティングが成功している会社であれば、お客様の確度が高い、つまりリードが熱い状態であなたに相談に来てくれます。そういった状態なら、実はほとんど営業活動をしなくても契約が取れるというケースが往々にしてあります。
しかし通常なら、「商品を今すぐ買いたい」というものすごく確度の高い状態で相談に来るお客様は、ほとんどいません。
実際このコラムの読者の皆さんが、私どものようにコンサルティングサービスを販売しているとしても、「あなたの商品を今すぐ買いたい」という確度高い状態のお客様がいらっしゃる割合は体感では少ないはず。マーケティング上の一つの課題ともいえるかも知れません。
そこで、このマーケティング上の課題を覆すクロージング方法を今回お伝えしようと思います。
ぜひしっかりと学んでいただいて、なんとなく状態のお客様でも確実に購買に至らせる方法を掴んでください。
「なんとなく客」が購買行動に至らない理由は「未来記憶」が持てないから
では、なぜ「なんとなく客」はクロージングしても商品を買わないのでしょうか。
理由はたった1つです。
お客様が得られる「未来記憶」が明確になっていないためです。
未来記憶とという言葉を初めて聞いた方も多いはずですので、説明いたします。
私、小沼が専門としている脳科学では、「記憶」はいくつかの種類に分類されます。
その中の一つが「未来記憶」です。端的に言いますと「未来に関する事柄の記憶」のことです。
例えば、あなたが「明日の予定は何ですか」と私に聞かれたとします。
「明日は10時からお客様とのアポイントが入っていて、13時から商談が入っていて云々~」と答えられるはずです。
これが未来記憶です。
商談で言えば、「お客様の未来がどうなるのか」について、本人が明確にイメージできていれば商品を買ってくださることになります。
逆に、未来記憶がお客様自身で明確になっていないと、購買行動を起こすことはありません。
つまり「なんとなく客」の方々というのは、この未来記憶が明確になってはいないのです。
自分自身が得られる未来記憶が不明確・曖昧な状態であなたのもとに相談に来ているため、「買わない」という結果になるのです。
おもしろいことに、人間というのは未来記憶が明確になると勝手に行動します。
これはセールスの現場だけでいえることではありません。
どうしても実現したいという明確な目標、そしてイメージがあったり、未来記憶を達成したことによって得られる未来がありありと明確になっていたりすると、それは「実感」となります。
人間が行動する理由というのは、モチベーションでもやる気でもなく、「実感」です。
どうしても実現したい、絶対にこれをやりたいという状態はそれだけ「実感が強い」状態であるため、他の人に言われなくても勝手に行動するのです。
「なんとなく客」は、その商品を手にしたことによってどんな未来が明確になるのか、どんな未来が待っているのかということが曖昧な状態にいます。
「なんとなく客」に購入してもらうための2つのポイント
それでは「なんとなく客」にも購入していただくためのクロージングはどうするべきでしょうか?
それは、お客様が得られる未来を明確にするお手伝いをすることです。ポイントは2つあります。
「未来記憶」明確化のため①定量的に
一つが「定量的に」明確にすることです。
例えば「何ヶ月後に何キロのダイエットに成功してます」「粗利が150%アップする」といったような形で定量的に数字で「見える化」してあげるという事です。
「未来記憶」明確化のため②定性的に
二つ目のポイントは「定性」です。
定性とは、状態や性質のことを表します。
お客様の未来記憶を明確化する際には、質問力が重要となってきます。質問力向上については、『営業パーソンが知っておきたい質問力を高める1つのポイント』の記事に記載していますので是非ご参考にしてみてください。
セールスパーソンは顧客の未来記憶を明確化するサポーター
例えば、「今よりも、売上が1.5倍になります」と言われたとしても、その150%の売上を達成した状態がどんなものであるかが明確になっていなければ購買行動が起きないのです。
数字というものは単なる数に過ぎず、「高度な数字的目標を達成した時の『状態』」つまり定性的な状態を明確にすることで購買行動を喚起します。
この構図こそが「未来記憶を明確にする」ことに該当します。
「定量的」と「定性的」、この二つをおさえた未来がしっかりとお客様にとって明確になっていれば、「なんとなく客」でも購買行動を起こします。
逆に、未来記憶が明確になっていないのに商品のプレゼンをされたところで、あるいはあなたの会社のストーリーを熱く伝えられたところで何の実感もないため購買行動には至らないということが断言できます。
つまり今回のテーマである「なんとなく客」の方があなたのもとに相談で来た時、セールスパーソンがすべきことは「徹底的にお客様が得られる未来記憶を明確にする」ということになります。
私が思う、お客様があなたの元に来た時に心がけて欲しいことは、徹底的にお客様が得られる未来記憶を明確にするお手伝い・サポート係となることです。
そして、定量・定性的な観点からお客様にとっての未来を実感がわくまで言語化します。
方法としては、質問を使ったり呼び水を使ったりと商品・サービスによってさまざまな手段があるでしょう。
すると、その段階で初めて「あなたの商品・サービスで得られる未来記憶」が明確になります。
ここでようやく、商品のプレゼンや企業ストーリー、差別化のポイントなどをお伝えできるようになります。
つまり「なんとなく客」の方の場合は、未来記憶を明確にする前は絶対にプレゼンやストーリーテリングをしないでください。「なんとなく客」は未来記憶がない段階では確実に動いてはくれません。
定量・定性的に深堀りして「なんとなく客」の未来記憶を明確化しよう
「なんとなく客」でも買う気にさせるクロージング手法についてご理解いただけたかと思います。
まず未来記憶をしっかり明確にすること、それがない段階では間違っても商品プレゼンなどはしないようにしましょう。
まずはあなたの商材によってお客様が得たいと思う/得られるはずの未来記憶を明確にしていきましょう。
明確化には、定量・定性という二つの要素を使い、徹底的に深堀りして差し上げる事が必要です。
また、セールスにおいてはお客様の未来記憶と同時にお客様の課題の把握も重要となってきます。具体的な方法については、『これが出来ると商談が変わる!セールスアブダクションで見込客の心理を見抜く方法』でも解説しています。
ぜひ、あなたのセールスライフに活かしてみて下さい。